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「戦争は女の顔をしていない」を読んで思ったこと・感じたこと

2022年4月9日

テレビで取り上げられていて購入した本のレビューです。

第二次世界大戦中のソ連とドイツの戦いに参加した女性兵士の証言をまとめた内容になっています。

この本はそんな過去の生々しい証言レポを書籍化したものを、数十年後に日本の編集者と漫画家がコミック化したもので、初版が2020年に刊行され、全3巻になっています。

この本が話題に上がっている理由ははっきりしていて、今のヨーロッパの情勢と強く被るところがあるからだと思います。

女性兵士が男性と同等、いやそれ以上に過酷な戦場を戦い抜き、その中で感じた苦しみや悲しみ、喜びをこと細やかに描写しており、読んでいて何度も涙を流したり、登場人物に深い同情を寄せることもありました。

この本ははっきりいって「心を揺さぶられる」内容になってるんです。

今回はそんな話題書をキンドルで購入して読み、そこで思ったことや感じたことを語っていきたいと思います。

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本の紹介

まずは本の紹介を軽くしておきましょう。

原作者は2015年にノーベル文学賞を受賞した、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチさんという女性です(ベラルーシ人)

雑誌記者をしていた1978年に、独ソ戦(大戦中のドイツとソ連の死闘)に参加したソ連時代の女性兵500人にインタビューし、その実体験の内容をまとめた書籍「戦争は女の顔をしていない」を完成させています。

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しかし当時はソ連時代だったためか2年間も刊行を許されず、ペレストロイカ後にようやく出版できたという逸話がありました。

1980年代の末までに200万部の発行部数を記録したということですから、当時としては大ヒットとなるのでしょう。

そしてその原作本を2020年代に日本の編集者と漫画家がコミック化して出版。

その後、2022年2月にヨーロッパで戦争が勃発したことで、この本が再度注目を集めたという流れですね。

女性視点の戦いに衝撃を受けた

本は3巻あり、電子書籍(キンドル)で購入しました。

原作を未読なので、内容がまったく読めず、最初は「一人の女性兵士の戦時の思い出を綴っていく話」とイメージしていたのですが、実際には様々な女性兵士のそれぞれの過去や記憶、現在を一話完結形式で複数の章でまとめています。

一巻の平均で7話ありますが、その中でいくつかの話は心にグッときたり、描かれている情景や過去の事実に涙してしまうことが何度もありました。

全く知らないことも多く、最初の話で出てきた「女性だけの洗濯部隊」というのがあり、兵士の軍服を洗うための専属部隊があったのですが、そこでの労働が過酷だったということも驚きでした。

大量の重い洗濯物を運ぶために、ほとんどの女性が「脱腸」になったり、血や汗などの汚れをとるために作られた特別な石鹸で手洗いしたければいけないため爪がはがれて無くなったり、手や指に湿疹ができたりしたことなどは「初めて知った」事実でした。

また軍隊という男性組織に入って戦うために、どうしても「男性に負けたくない」という思いがあり、男性以上に懸命に軍務に励む姿など、今の女性の社会進出と被る部分も共感できました。

当時の独ソ戦はあまりにも過酷で、死傷率が凄まじく高かかったため、そこで戦い続けることはあらゆる意味で心身を損耗することを意味しました。

そんな中でも女性兵士たちは女性らしさを失わずに「少しでもお洒落をしたい」「愛する人と一緒にいたい」といういじらしさ、愛情を描いた場面がありましたし、そしてそれが体験者の証言をそのままに描いていることと重なって、戦いの虚しさや悲しさをより一層際立たせていたと思います。

その中で何度も使われてた表現が心を打ちました。

「そういう強烈な気持ち・・・狂おしいような愛・・・胸が張り裂けそうな・・・・」

男性も女性も平等に戦っていたという事実

ドイツに侵攻されて国土を蹂躙されたロシアは、祖国の防衛のために国民を総動員で戦いに臨みました。

男性だけでなく、女性も動員されたのですが、その中でも実際の前線勤務を希望する女性兵士は多くいたといます。

後方支援や医療業務が中心の中、それでも男性と同等に祖国を守りたいという女性が多数参加して、命を落としていったということ。

その様子がこと細やかに描かれていて、その思いが男性兵士をして女性兵士を尊重するという態度に繋がっていたということも、丁寧に描かれていました。

とくに印象に残ったのが、「女性兵士」だけが遭う苦しみというのが「行軍中の生理」です。

数十キロを徒歩で歩く中、途中で生理のために出血がズボンから流れ落ちます。

ポタポタと流れ落ちる血は多くの女性兵士の後を続く男性兵士の目にも入っていたのですが、彼らはそれを見ないようにしたのでした。

そしてその血が乾き、ズボンを固まらせ、それが鋭利な刃となって彼女たちの太ももを傷つけ、さらに切り傷として出血をもたらしたのです。

しかし新しいシャツや下着を支給されることもなく、仕方なく彼女たちは男性兵士が乾かしてあったシャツを盗んで包帯代わりにしていましたが、男性兵士はそれを知りつつ、笑って許していたという話がありました。

同じ仲間としての苦しみを共有し、ともに戦うという一体感。

過酷な戦場ならではの強烈な仲間意識は、平和な時代に生まれた自分には想像もできない高揚感を伴っていました。

戦場の過酷さに心をえぐられた

この本は実際に戦争に従軍した女性兵士の体験談をまとめたものなので、ほのぼのとした部分はむしろ少数です。

大部分は戦争の過酷さや人間性の欠如、戦いの中で受けたトラウマが戦後も長く続いていて、決して拭い去れないということ。

マンガとはいえ、かなり忠実に当時の戦地のリアルな現実や蛮行を描いているので、はっきりいって途中でなんども「キツイな・・・」と心が折れかけました。

人間はここまで残酷になれるんだと。

相手を「人間」としてではなく「抹殺すべき敵」として認識した瞬間に「心の闇」が訪れるということ。

そしてそれは憎しみの連鎖となり、終わることのない「非人間的」な行為を平気に行ってしまうということ。

ニュースでそういったひどいことを目にしたり耳にすることがあるのですが、リアルタイムに目の前で体験した人の記憶をマンガで表現しているので、絵柄はキレイとはいえ、かなり残酷に感じる部分もありました。

そのトラウマを抱えた元女性兵士が、インタビューをしている女性に「これ以上は言えない・・」と証言を止めようとするのですが、それでもこのことを誰かに伝えなくてはいけないと強く思いなおし、再び過去に自分が経験したことを独白する部分にはひどく心を打たれました。

まとめ

他にも語りたいことは山ほどあるのですが、実際に本を読んでみないと感じ取れない部分も多いため、今回の感想はここまでにします。

正直にいって、読む前は「大したことはないだろう」と思ってました。

事前に女性兵士の現実の部分をテレビ番組で紹介されたときには「そういう部分もあるんだな。でも大半は活躍した女性の兵士の武勇談のようなものになっているんだろうな」と思っていたのです。

しかし実際には想像以上にリアルで悲しくて、人の心の複雑さや残酷さを余すところなく描写していて、読むにつれて心が痛む部分が多くあったということ・・・

そしてそれは実際に遭ったことであり、現在進行形でこの世界で繰り広げられているということ・・・

よく「戦争は良くない」と言われます。

それは確かにそうですが、経験していない私のような人間にとっては、あくまで「記号」のようなスローガンにすぎません。

少なくとも今まではそうでした。

でもこの本を読むことで、本当にほんのわずかですが、その過酷さが胸の内に伝わってきたような気がするのです。

そしてそれはこんな世の中だからこそ、多くの人に読んでほしいとも。

文字だけでは伝わらない、漫画ならではの「人々の思い」をぜひとも味わってほしいなと思います。


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