自動車の期間雇用従業員という仕事をご存知でしょうか?
よく求人雑誌の裏表紙や、求人系サイトの広告でみるお仕事です。
一定期間、車の工場で働くことで、まとまったお金を稼げることで有名です。
働く工場のメーカーはほとんど大手で、トヨタやホンダ、ダイハツ、マツダ、日産、三菱、いすゞ、などがメインですね。
ほとんどが直接雇用ではなく、工場専門の人材派遣系の会社から受け入れていると思います(このへんはちょっと詳しくないので曖昧ですいません)
私も実は若い頃に自動車工場の期間雇用従業員として、約一年間働いたことがあります。
今から20数年前のこと。
20代前半の頃でした。
それまで事務系の仕事をしていたのですが、理由があって退職したばかり。
ちょうど学生時代から憧れていた技術系の専門職があり、そのためのスクールが新規に開校すると聞き、入学金や費用を短期間で稼ごうと思い立ったときに、この期間工の話を耳にしたのです。
学生時代の友人がやはり前職を退職したばかりで、次の仕事も決まっていたのですが、半年ほど時間が空いていたので、小遣い稼ぎのために近所の自動車工場の期間工として働いていたということでした。
詳しく聞いてみると、
・家の近所で歩いて行ける距離に工場があった
・ラインで流れてくる部品をチェックする仕事
・すぐに慣れた
・無意識に体が動くようになるからラク
・給料は月に手取りで30万円ちょっと(残業代込み)
「これは・・・」
と思いました。
工場と聞くと「キツイ」イメージがありましたが、慣れればすごくラク、しかもライン仕事だから無意識にやってると体が慣れて、勝手に時間が過ぎる、などということ・・・
しかも給料がすごく良いときたら「これだ!」と思わざるを得なかったのです。
さらに決め手だったのは、その友人が私と同じ文系の大卒で、決してスポーツが得意だったり、肉体労働が好きなタイプではなくて、むしろ優男なタイプ、根性がすごくあるというタイプではなかった、ということ。
「この友人ができるなら俺にもできる!」
私はそれまでスポーツや武道をやっていて体力には自信があったので、喜び勇んで友人に話しを聞き、掲載されている求人誌を手にして申し込みことにしたのです。
目次
面接を受けて工場勤務が決定
アルバイト求人誌をいくつか検討し、良さそうな工場仕事を選ぶことにしました。
ただ友人と同じというわけにはいきません。
彼の家は私の家からはかなり遠い地域にあり、郊外だったので近くに工場があったということ。
かたや私は都市部のど真ん中に家があり、同じ条件で働くということは難しいということ。
なので、こうなったら離れた他の県で寮住で働こうということになり、そうした求人をチェックしたのです。
それまで実家暮らしだったので、どうせならこれを機に一人暮らしをしてしまおうという気にもなっていました。
結果、選んだのが近隣県にある某メーカーの工場でした。
給料も友人が得ていた額とそれほど変わらず、30万円以上となっていたので「まさにこれだ」と。
ただ求人を見ると直雇用ではなく、派遣会社からの派遣で仕事をするということになっていました。
友人はメーカーの直雇用だったと聞いていたのですが、当時はそのあたりの仕組みもよくわかっていなかったので「ふーん、まあいいや」となり、早速面接を申し込むことにしたのです。
面接は市内の会社の事務所で行われ、年配の面接官の方から簡単な質問を受けました。
「工場勤務の経験は?」
「大変な面もあるけど大丈夫?」
などを聞かれ、それぞれに無難に答えて面接は終了し、そのまま合格ということになりました。
こうして私の期間雇用従業員としての日々が始まったのです。
個室の寮住まいに歓喜!
必要最低限の荷物を持ち、電車に数時間乗って、工場のある駅に着きました。
郊外の街という感じで、正直少し寂し気な雰囲気もありましたが、ここでは働くだけなんだからと自分に言い聞かせ、当日指定されていた会社の現地事務所に赴くことにしました。
そこで工場勤務のことや、仕事の内容、契約の確認などの簡単な説明を受け、これから住む寮に案内されることに。
車で数十分したところにあったワンルームマンションで、中に案内されると、ちゃんとした個室の部屋になっていました。
ワンルームなのでそこまで広くないですが、それでも普通の学生が済むようなレベルの部屋です。
電子レンジや冷蔵庫、洗濯機、シャワールームもあり「おおお」と嬉しくなりましたよ。
案内してくれた担当の方から鍵をもらい、「明日は工場の案内をします」と言われて、その日は荷物を部屋に置き、これからの生活のための買い出しや散歩を兼ねて街を散策に出たのでした。
いよいよ始まった工場勤務の日々
翌日は朝6時半くらいに(時間はちょっと忘れてしまったので曖昧です)、工場に行くバスに乗るために指定された場所に行きました。
そこで待つ同じような工場勤務の人と一緒にバスに乗り込み、いよいよこれから働く工場に出発です。
20分ほどで現地に着き、まずは工場内にある会社の事務所に行きました。
そこで再び工場勤務についての詳細を聞き、今後の契約のことなどを確認しました。
説明を受けている間に事務所を訪ねてきたベテランらしい期間工の方が「おっ、〇〇さん、新人?」と私に仕事の説明をしている担当の社員に声をかけている姿を見て「ああ、こういうノリか」とわけもなく納得したことを覚えています(とくに意味もないのですが笑)
そうして担当の方に工場内を案内してもらい、現場や食堂などメインの場所に一緒に見た後は、現場のメーカーの社員さんに紹介されて、その日はそれで終わりということになりました。
帰宅してから街に出て、スーパーや100均によって晩御飯や生活物資の買い足しをし、部屋に備え付けのテレビを見ながら食事をして就寝という流れで一日を終えた、という感じです。
配属されたのは部品調達の職場だった
そして次の日になり、正式に職場に配属されることになりました。
ちょっと厳しめの社員さんに各部署を案内されて、それぞれを軽く見学した後、「君はここね」と言われたのが「部品を集めて各ラインに送る部署」でした。
「えっ?ラインと違うの?」
と思いましたが、話しを聞くと「カート車に乗って伝票通りの部品を集めて各部署に配る」という仕事で「これは立ち続けのライン仕事より楽かもしれない」と軽く期待感を持ち、ちょっとワクワクしたものです。
配属先で私に仕事を教えてくれることになった先輩の期間工の男性もなかなかに良い人で、「最初はキツいけど、すぐに慣れるよ」と言ってくれてホッとしました。
一見「車に乗って部品を調達するだけだから楽だろう」と思いがちですが、実際にやってみると、ずっとカート車に乗っているわけではなくて、置かれている部品置き場の前で立って部品を持ってこなければいけないこと、その部品は大きい物から小さい物まであって、かなり重たい物まであること。
さらに時間が細かく設定されていて、ひっきりなしに収集しなければいけないこと、があって「なるほど、これは思ったよりも重労働かもなあ」と感じました。
その日は先輩について仕事を覚えることに専念し、休憩も含めてたとはいえ、ぶっ続けでかなりの時間を働いていたと思います(5時間くらい)
さらに残業もしないといけないということで、そこから夜の8時くらいまでは仕事が続いたでしょうか。
さすがにクタクタになって「これ続くのかなあ・・」と不安になりましたね。
1週間もすると仕事に完全に慣れてきた
そして1週間後。
私は普通に仕事をしていました。
教えられた業務も3日くらいで覚えてしまっていて、ある程度の流れとか時間配分が分かってしまうと、思っていたよりもキツくないことが体感で理解できてきていました。
思うのですが、仕事とか作業というのは、実際の仕事量よりも「先の見えない不安」「時間の感覚がつかめない」ことの方が大きくて、それが慣れないうちは「キツい」と感じてしまう原因だと思います。
なので、頑張って1週間から2週間を耐えれば、どんな仕事でもはっきりいって「慣れる」ということ。
この仕事も完全にそうでした。
一度慣れてしまえば、毎日が同じ仕事なので、はっきりいって「流れ作業」です。
体力的にも楽ですし、気分的にはもっと楽になっていきました。
先輩の期間工の人や、その知り合いの人、同じ職場で働いている人と作業の合間に話したりすることもあって、気分的にはすごく余裕が出てきていました。
もちろんミスがなかったわけではないので、時々社員さんに怒られることもありましたが、それもどんな仕事でも同じなので「そういうもの」だということ。
ただ一つの悩みは「腰痛」でした。
カート車に部品を載せて移動させる業務でしたが、車の部品なので重い物が多いんです。
それを積み込まないといけないために、けっこう腰に負担をかけてしまっていたんです。
なので、休みの日には町のマッサージ店でマッサージを受けたり、腰サポーターを買ってきて、なんとかやりくりしていました。
このときばかりは、立ち仕事の検品部門やライン部門の連中が羨ましかったですね。
職場では人間関係に注意すべき
仕事の面では一度慣れてしまうと、毎日が同じ業務なので、はっきりいって楽勝です。
問題は「人間関係」。
期間工は全国から様々なバックグランドを持った人が集まってきているので、中には一癖も二癖もある人がいます。
私の職場でも何人かいて、彼らの仲間にならないように気をつけていました。
見るからに「やんちゃ」な人が中心となって、同じような人が数人でグループを作っており、私も何度か「部屋で飲むからこないか」と誘われたことがありました。
そのときに「部屋でトランプしたり麻雀したりして遊ぶ」といっていたので、直感で「これは行かないほうがいいな」と判断し、適当に言い訳して誤魔化していました。
何がどういけないのかは想像にお任せしますが、あのまま誘われて行っていれば、予定通りの資金は貯まらなかっただろうなと予想は尽きます(笑)
もちろん、どの部署にもこういう人がいるわけでもなく、寮のマンションで友人になった他部署の人は「みんな真面目」といっていたので、ここはもう運みたいなものだと思いますね。
といっても、そんな「やんちゃ」な彼らも、何度か誘ってきて私は乗らないとわかると、あとは一切何も言ってきませんでしたし、その後も職場で会うと普通に話をしたりしていたので、このへんの期間工としての立ち位置は「余計な人間関係には関わらない」が鉄則だといえます。
【給料の話】約一年で200万円強を貯めることができた
最後にお金の話をしたいと思います。
期間工の仕事と言えば、ここが一番大事なポイントですね。
もう20年以上前のことなので、細かい時給や給料の額は忘れてしまいましたが、およその明細は次のようになります。
・日給で1万円前後
・月の出勤日は20~25日
・月平均は残業代・休日出勤込みで30~35万円前後
ここから「寮費・光熱費・食事代・保険代・その他の支払い・その他遊興費」を引くと、およそ20万円少々が手元に残るといった感じだったでしょうか。
若かったので遊びたい気分はありましたが、短期間でお金を貯めるという目標があったこと、地方の街なので遊ぶところが少なかったこと、休日は疲れがあったので家でゆっくりしたかったこと、マンションの近くでちょうど散歩しやすい川や散歩道があったので、そこを歩いて気分転換ができたことなどで、余計なことでお金を使う必要がなかったのが大きいですね。
加えて同じマンションで友人になった他部署の期間工がいたので、よくお互いの部屋を行き来して飲んだり、ゲームをしたりして時間を潰せたのも良かったです。
その結果、毎月20万円ほどを平均して貯めることができ、契約を終了して地元に帰るおよそ一年後には、200万円強を貯めることができました。
まとめ
こんな感じで過去に経験した自動車期間工の仕事経験をザザッと思い出してまとめてみました。
この後、地元に帰って、期間工で貯めた分とそれまでの貯金と合わせて専門スクールに通うことになり、卒業してからはいくつかの紆余曲折がありつつも、今もその道を歩んでいます。
そう考えると、この期間工の期間はその後の人生を大きく変えてくれた時期でもありますし、キャリアの基礎を築く種金を稼がせてくれた有難い職場だったと思います。
仕事も慣れてくれば確実に楽になるので、意外に何年も続けているベテラン期間工の人も多かったです。
黙々と作業するのが苦手でなかったり、接客や営業など人の機嫌をうかがうのが面倒だったり、逆にそれまで対人仕事をやってきて「もう疲れたよ」という人にも向いていると思います。
何よりも短期間でお金をガッツリと貯めるには最適な職場ですので、借りたお金の返済などで「まとまった金額」が必要な人や、起業を目指している人の「資金作り」としてすごくおすすめですよ。
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